追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 リリアーナはスッと笑みを引っ込めると私に背中を向けて、ぶっきらぼうに答えた。
『もう戻るわ』
 そう言って、リリアーナは馬車を出て行った。
 ――コンコン。
『具合はどう?』
 リリアーナが馬車を出て行って小一時間が経った頃、養護教諭が車窓越しに問いかけた。
『はい、もう大丈夫です』
 学園を出発した直後のお腹が捻じれるような猛烈な痛みは、すっかり治まっていた。
『そう。それならクラスに合流して、昼食にしましょう』
『はい』
 私は馬車を出て、養護教諭と共にクラスの皆に合流した。
『皆さん、今日はロジェ君の実家の葡萄酒工房から特製の葡萄ジュースを人数分いただいています。私の乗る後続の馬車に積んでいますから、日直の生徒さんは後で荷下ろしを手伝ってくださいね』
 ……なるほど、あのジュースはクラスメイトからの差し入れの品だったようだ。
 養護教諭の言葉に、生徒たちは一瞬で湧きたった。それもそのはず、ロジェ君の実家の葡萄酒工房というのは王族御用達の老舗で、数量限定でしか生産されない葡萄酒は幻の名品と呼ばれる希少品だ。もちろん、ジュースだってまたしかり。
 ……うーん。残念だけど、私は今回はパスする事になりそうね。
 リリアーナが既に報告を済ませたかは定かでないが、仮にまだだとしても今からいくらでも報告する隙はある。そうして私の他にも数人の仲間に呼び掛けて、ジュースを後日のお楽しみとしてもらえば全く問題ないだろう。

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