追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 私はそう納得して、木陰で他の生徒らと共に持参したランチボックスを開いた。
 だけど、いざ配布しようという段になって事件は起こった。
『……あら? ジュースの本数が足りないわ』
 え? 養護教諭の声に、私は弾かれたように顔を上げた。
『あの、先生! こんな事を言うのは心苦しいのですが、私見たんです。体調不良で休んでいるはずのアイリーンが、馬車の前方の座席でなにやらガサガサとやっているのを……』
 リリアーナの上げた声で、全員の視線が私に突き刺さった。
『ちょっと待って!? 私は――』
『先生も皆も、どうかアイリーンを許してあげて!! 彼女はお腹を下して脱水になり、止むに止まれずジュースに手を付けてしまったんです!』
 私の弁明は何故か、背中にスポットライトを背負ったリリアーナによって遮られた。そのままリリアーナはスポットライトに照らされて、情感たっぷりな一人芝居を展開する。
 ……なにこの、悲壮感たっぷりなライトワーク? 圧倒され、ゴクリと喉を鳴らす。
 光はリリアーナの公正さを際立たせ、私の有罪を雄弁に語る。
 な、なに!? この、神憑り的な演出構成の技術は――!? 私は呆気に取られ、食い入るようにリリアーナを見つめていた。
『……だけど本当は私、こんな告げ口のような事はしたくなかった。だけどアイリーンが、きちんと先生に報告しないから。アイリーンがちゃんと私の説得を聞き入れて先生に報告していたら、わざわざ皆の前でこんな事言わなくて済んだのに、……アイリーンのバカっ』
 ゔぐぁっ!! リリアーナが可愛らしく叫んだ「バカっ」が、槍の如き威力で私の胸をひと突きに討ち抜く。

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