追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
帰りがけのエヴァンに言われ、ハッとして店内を見回す。けれどどんなに探しても、店内には私とエヴァン、そしてバスローブ姿のカーゴとルークがいるだけだった。
いつの間にかプリンスの姿が店内から消えていた。
「プリンス、いつの間に帰っちゃったの……?」
私自身、エヴァンに言われるまでプリンスの不在に気付かなかった事が不思議だった。だけど感覚的には、私はずっとプリンスと一緒にいるような気でいたのだ……。
「なぁアイリーン。俺はさ、あの猛獣にビンタされて目が覚めたんだ。今度会ったら、俺からの礼を伝えておいてくれ。それじゃ俺はこれで失礼するよ」
エヴァンは最後にもう一度直角に腰を折って、店を後にした。
「あ、雨が降ってるんじゃ」
エヴァンの背中が扉の向こうに消えてから、ふと、曇天の空模様を思い出した。
「雨ならもうとっくに止んでるぜ」
傘に手を伸ばしかけた私に、ルークが告げる。
「え……。あ、ほんとだ」
窓に目線を向ければ、ルークの言葉通りすっかり雨は止んでいた。私が再び店内に視線を戻すと、何故かルークが笑いを堪えたみたいな顔をして、肘でカーゴをつついていた。カーゴはむっつりとした表情で、ルークのちょっかいを避け、場所を一歩横にずれた。
「ねぇ、ところでどうしてカーゴはバスローブ姿なの? ……あ、もしかしてお風呂上りに駆けつけてくれた!?」