追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
アニキが柄杓を置いた瞬間、私は勢いよくランタンを覆っていたストールを外す。その勢いのまま煌々と灯るランタンを後方に向かって放り投げた。
――ザザッ!
「明かり!?」
「誰だ!?」
「誰かいるんッスか!?」
男たちがランタンに気を取られている隙に、私は竹ぼうきを握り締めて茂みから飛び出した。
「な、なんだ!?」
「女!?」
ランタンに気を取られていた男たちは、突然現れた私の姿にどよめいた。
――ゲシ、ゲシッ!
私は構わずに突進し、渾身の力を込めて二台の農薬散布機を蹴り倒す。
「ぅわぁああ!?」
「中身が零れちまってるッス!!」
「お、おい!? テメェなにしくさってやがる!?」
慌てたアニキが私に向かって飛び掛かる。
っ! 農薬散布機は、あとひとつだ――!
私は向かってくるアニキはそのままに、両手で握った竹ぼうきを残る農薬散布機に向かって突き出した。
――ガッッ!
竹ぼうきの渾身の一突きで、農薬散布機が倒れた。中の液体がタンクから零れ、あっという間に地面へと染み込んで消えた。