追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
そうこうしている内に、私たちはランタンの明かりで照らされたハウス前に辿り着いた。
「こりゃあまた、聞いていたよりずいぶんと賑やかじゃないか。……だが、あんたの言っていた猛獣はもうおらんようだ」
え、なんで!? ジェームズさんの言うように、プリンスの姿は既になかった。
だけど、代わりに――、
「カーゴ! ルーク! もう来てくれていたんだね!」
ハウス前では、カーゴとルークが男たちの救護にあたっていた。何故かカーゴは、今回もまたバスローブ姿だ。
「君からの通信を受けて飛んできた」
「そうそ。カーゴが姿を変え……、いや、血相を変えて出てくもんだから、俺も追ってきてみれば、血だらけの男たちが倒れてて驚いたぜ。アイリーンの姿が見当たらなくて焦ったが、無事なようでよかったぜ」
「ヴッ!」
ルークが舎弟の顔面に水を浴びせながら答えた。血を洗い直す意図は分かったが、その乱暴なやり口に、舎弟は鼻から水を吸い込んで噎せた。
「うん、私は全然大丈夫! 心配させちゃってごめんね。それから二人とも、こんな時間に駆けつけてくれてありがと――」