追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 私は相応しい謝罪が見つからぬまま、立ち尽くした。私とカーゴを中心に、場の空気がシンと静まり返っていた。
「おいカーゴ、こうしてアイリーンも無事だったんだ。そんな説教垂れなくてもいいじゃねえか。可哀想に固まっちまってるじゃねえか。……ほらアイリーンも、あんまり気にすんなよな!」
 ルークは私とカーゴの腕をそれぞれトントンッと叩いて取り成す。ルークの後ろでは、ジェームズさんも心配そうにこちらの様子を窺っていた。
「……いきなり叩いてすまなかった。だが、次からは安易な行動を取る前に立ち止まり、必ず俺を呼んでくれ」
 カーゴは私に向き直ると静かに告げる。
 ……状況を汲んで、それに相応しい振る舞いをするカーゴは大人だ。
 だけど私は、カーゴの取り繕った表情と、どこか他人行儀な態度が、なんだか突き放されてしまったみたいに感じた。
 これが切欠になって、胸の中に閉じ込めていた感情が溢れ出た。
「ごめんなさい!」
 咄嗟にカーゴの腕を掴み、叫んでいた。
「考えなしな行動をして、心配をかけてごめんなさい! 次からは考える、ちゃんと後先を考えて行動する! ……だからお願い、どうか私の事、呆れちゃわないで!!」

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