追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「……ぅうう、ひでえッス」
そうしてジェームズさんのお宅の土間で始まった三人の事情聴取。しかし開始早々に、舎弟兄弟が泣きだした。
「俺たち栄養剤を撒こうとしただけなのに、どうしてこんな扱いを受けなきゃなんないッスかぁ」
……え? 栄養剤?
舎弟の一人が漏らした『栄養剤』の単語に、私たちは思わず顔を見合わせた。
「嘘を吐くでない」
最初に動いたのはジェームズさんだった。ジェームズさんは回収してきた空容器に歩み寄ると、指の先で缶の内側をひと撫でした。
「なにが栄養剤だ。こりゃあ、間違いなく除草剤だ。匂いもだが……ほれ、儂の指先が少量を付けただけでヌルついておる。こりゃ、除草剤の特徴だろうが」
差し出された指先は、刺激臭もさる事ながら、言葉通り皮膚が少し爛れていた。
「ジェームズさん、早く洗い流した方がいいです!」
「まぁ儂は扱い慣れとるから大丈夫だが。どれ、一応洗っておくよ」
私は慌ててジェームズさんを流し台に伴った。
「どういう事ッスか、アニキ!?」
「言ってた事と違うじゃないッスか!?」
ジェームズさんが手を濯ぐ後ろでは、舎弟兄弟が驚きを隠せない様子でアニキを問い質していた。