追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「アニキ、なにが『とっておきの伝手から取ってきた儲け話』ッスか! ヒミツの薬剤って、それめっちゃ怪しいじゃないッスか!? 俺たちに言った栄養剤の散布って、嘘だったんッスね!?」
「うるせえや! そりゃあ俺だって、なんか怪しいとは思ったんだよ。だけどかつ丼食っちまった手前、断れねえだろうが。……それにほら、万が一なんかあった時、おめえらは胸張って『栄養剤の散布』って言えた方が、微罪で済むだろうがよ」
 アニキはバツが悪そうに最後の一言を付け加えた。
「アニキ……!」
「俺らの事そこまで考えてくれてたんッスね!」
 舎弟兄弟は感動の眼差しでアニキを見上げた。
「あったりめーよ! 舎弟守んねえで、ヤクザのアニキが務まるかってんだ!」
 アニキの自白に、私たちは顔を見合わせていた。
「おいカーゴ、こいつらは金で雇われただけの駒にすぎねえ。今回の一件には黒幕がいる」
「分かっている」
 カーゴは眉間にクッキリと皺を寄せ、再びアニキに向き直った。
「その女の特徴と、店での会話の詳細を聞かせろ」
 再びカーゴから厳しい目を向けられて、舎弟への強気な態度はどこへやら、アニキは一瞬で縮み上がった。

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