追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「は、はい。女は名乗らなかったが、若い学生だった……いや、たぶんセント・ヴィンセント王立学園の学生で間違いない。そういやコイキ食堂の会計で、校章の入った財布を出していたから」
 セント・ヴィンセント王立学園の校章が入った財布! 女性がそれを持っていたのなら、必然的に女性は私の元同級生という事になる……。
 とても嫌な予感がした。
「女は、『これを無事にやり切れば、自分を苦しめていた女に目に物をみせてやれる』って言ってたぜ。なんでも、その女のせいで仲間は蜘蛛の子を散らすようにいなくなって、テストにも落第したんだとよ。よく分かんねえが、可哀想な話だろ?」
「おい!? 仲間が蜘蛛の子を散らすようにいなくなったって、それってエヴァンや二コラ、エミリーといった取り巻きの事じゃねえか!?」
 真っ先にルークが叫んだ。
「それじゃ、テストに落第っていうのはもしかして、ロベールがヤマを張ってあげなかったから……!?」
 私とカーゴ、ルーク、三人の視線が絡む。
 緊張に喉を鳴らした音が、妙に大きく響いた。
「間違いないだろう。今回の犯行の黒幕はリリアーナだ」
 カーゴの断定に、私はへなへなと頽れた。
「アイリーン!」
 カーゴに腕を支えられて、なんとか立っていたけれど、内心の動揺は大きかった。

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