追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「……大丈夫よ、ありがとうカーゴ」
 リリアーナは、ジェームズさんがエヴァンの買い取りに応じずに、私の店に苺を卸している事を知り、納品を停止させる強硬策に打って出たのだ。
 私を窮地に追い込みたいがために、リリアーナがここまでの手段に出た事に、私は衝撃を受けていた。これまで私は、リリアーナに社会的な制裁を求めるつもりはなかった。
 非常識ではあったが、リリアーナの攻撃は全て私一人に向けられたものであり、他者を陥れるものではなかったからだ。
「あの女、とんだ逆恨みもいいところだ! 苺の納品を止めたいがために、なんつー馬鹿げた手段を考えるんだ! ギリギリで止められたからよかったようなものの、一歩間違えりゃ、農家一軒潰してたところだぞ!?」
 いきり立ってルークが叫ぶ。
「いや、ハウス内こそ無事だったが、ハウス前の土には大量の除草剤が染みてしまった。ハウス栽培と入れ替わりで始まる露地栽培の苺の生育に影響が出ないとも限らん」
 カーゴの指摘に、喉の奥がヒュッと詰まった。マイベリー村では、多くの農家が春のハウス栽培を終えた後、初夏にかけて今度は露地栽培を開始する。
 ……私はどうして、それに考えが回らなかったのか! この瞬間、リリアーナへの憤りよりなにより、私は自分のした行いに凍り付いた。

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