追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 握った拳を戦慄かせて声を高くするルークに対し、カーゴの声は静かだった。けれど整然と語られる言葉の裏には、ルークにも負けない強い怒りと決意が透けて見えた。
「女への成功報告はどのように行う手はずだった? この後女の元に向かうのか?」
 鋭いカーゴの問いかけに、アニキは壊れたように首を横に振った。
「い、いえ! この後は行きません。女はマイベリー村の宿に滞在してますが、なんでも、夜はしっかり睡眠を取らないとお肌がどうとかこうとか……。朝は朝でゆっくり巻き髪を作りたいそうで、報告は明日の正午に行う予定でした」
 という事は、リリアーナは明日の正午まで確実に宿にいる。今から自警団に連絡して、人を集めるにしても、身柄確保には十分な時間がある。
「そうか。明日の正午か……」
 ところがアニキの回答に、カーゴは押し黙った。なにか考え込んでいるようで、その顔は怖いくらいに真剣だった。
「……そんじゃ、ここに置いておいても迷惑だ。俺はこいつらを一旦ロッジに連れて帰るぜ。どうやら明日の昼まで事は動かなそうだしな。その様子だと、全ての決着は明日だろ?」
 カーゴの様子を見たルークは、こんはふうに言いながら席を立った。
 ……え? 自警団に引き渡さずに、ルークが連れて?

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