追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
全員でジェームズさんのお宅を出た。
「家の鍵、どうする? お前が夜中に戻るなら玄関の鍵は開けといてもいいが」
「いや、おそらく戻りは日の出近くになる。鍵は掛けてしまってくれ」
「了解、そんじゃーな」
ルークたちとは途中で別れたのだが、その別れ際にカーゴとルークがしていた会話が耳から離れなかった。
……まだ日付は変わっていない。ここから私の自宅までは十分とかからない。
カーゴはこれから日の出までの時間、一体どこに向かい、何をしようというのか……。気になりつつも、私はどうしてか口を開く事が出来なかった。
ルークたちの背中が曲がり角の向こうに消えて、賑やかな声も完全に聞こえなくなってから、隣のカーゴに目線を移した。長身のカーゴの瞳は、私よりも頭ひとつ高い位置にあった。
私は意を決して一歩踏み出すと、カーゴの腕をそっと掴んだ。腕を支えにトンッと伸び上がり、グリーンの瞳との距離を縮める。
「どうかしたか?」
背伸びのままジッと見つめる私に、カーゴが困惑気味に問いかける。
私は満天の星々よりも一層眩いグリーンに向かって微笑んで、踵をトンッと地面に着地した。
「ううん、なんでもない」