追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
その瞳だけを見て、私はカーゴとプリンス、どちらのものか判断がつけられない。だけどこの瞬間、判断などそもそもつくわけがないのだと、そう確信した。
だってその瞳は、ピッタリ同じなのだから……。
「ねぇカーゴ、今日は駆けつけてくれてありがとう。今更だけど、まだちゃんとお礼を伝えてなかったよね?」
「君の元になら俺はいつ何時だって駆け付ける。君を守るのは俺だ」
告げられた言葉の温度に、ドキリとした。
果たしてカーゴは、分かっているのだろうか? カーゴの一言一句が、こんなにも私の心を乱している事を……。
「そういえば私ね、カーゴにプリンスが聖獣と聞いてから調べてみたの」
足を前に進めながら切り出した。
カーゴの眉がピクリと動くのを横目に見たが、それ以上の反応はなかった。
私は構わずに言葉を続けた。
「そうしたらなんと、聖獣伝説の起源って、カーゴの故郷のカダール皇国にあったのよ。なんでも、カダール皇国建国の始祖が真白い虎の神様で、カダール皇国の皇族はその子孫にあたるんですって。カーゴは知っていた?」
私が問えば、カーゴはフッと表情を緩ませた。
「それはおかしな話だな。カダール皇国建国の始祖は真白い虎なのだろう? 君に言わせると、プリンスは『ネコちゃん』だからな」