追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「そうよ、おかしな話でしょ。ちなみに私なりの見解は、長い年月のうちに史実の方が捻じ曲がって伝わってしまったんじゃないかって、こうよ。カダール皇国建国の始祖は、本当は真白いネコの神様だったに違いないわ。だってプリンスは間違いなく『ネコちゃん』だもの」
「そうか。ならばカダール皇国の歴史の方が間違っているのだろう。カダール皇国建国の始祖は、君の言うように真白いネコだったに違いない」
 私の見解に気安く応じながら、カーゴはその顔に微笑みを浮かべていた。だけどその目は真剣そのもので、欠片も笑ってはいなかった。
 会話はこれで途切れたけれど、夜の静寂が心地よく私たちの間を満たす。私とカーゴは肩を並べ、ゆっくりと夜道を進んだ。
「ここまででもう平気よ。送ってくれてありがとう」
 自宅前で足を止め、カーゴに告げる。
 すると同じく足を止めたカーゴが、私を見下ろしたままスッと瞼を閉じた。瞬きにしては少し長く瞑ってから、ゆっくりと瞼を開ける。
 現れたグリーンの瞳に、私の視線が釘付けになった。
「……君は、以前に俺が言った台詞を覚えているか?」
 ドクンと胸が大きく跳ねた。
「うん、覚えてるよ」

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