追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 もちろん忘れるわけがなかった。私はカーゴに告げられた『俺はいつか、隠し事や秘密、心の内も全て君と分かち合いたいと望んでいる』この台詞を、一言一句違えずに記憶している。
「明日、全てに決着がついたら、続きを君に伝えたい」
「……うん。聞かせて欲しい」
 真摯な光を宿すグリーンの瞳に心が熱く震えた。瞬きをする一瞬すら惜しみ、私たちは強く見つめ合う。
「明日はリリアーナの宿に向かう前に、一度店の方に顔を出す。おやすみ」
 カーゴは私に優しい微笑みを残して、ロッジとは反対方角に足を向けた。
「おやすみなさい」
 長く絡んだ目線が解け、カーゴが行ってしまっても、私の中に眩しい微笑みの残像はいつまでも消えなかった。



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