追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました



 翌日、カーゴは約束通りお昼前に店にやって来た。
「これからルークとリリアーナの宿に行ってくる」
 カーゴは特段疲れた表情を見せなかったが、目の下に薄っすらと浮かぶ隈や僅かに充血したその目を見れば、昨夜一睡もしていないあろう事は瞭然だった。
 私がチラリと店の奥に視線を向ければ、シーラさんが力強く頷いて応えてくれる。
「それなんだけど、私も一緒に行っていい? 昨日の事を話したら、シーラさんが店番を買って出てくれたの」
「もちろんだ。君は当事者のひとりだ、一緒に行けるならそれが一番いい」
「おっ、アイリーンも一緒か。そうだよな、やっぱ決着は自分の目で見届けねえとな!」
 ルークがカーゴの後ろからヒョイッと顔を出し、白い歯を見せた。
「あれ、ところであの三人は?」
 ルークの後ろに、あの三人の姿はなかった。
「怪我もあるしロッジに残してきた。だがあいつら、安静にするどころが自ら志願して、朝からロッジの掃除に精を出してる。えっらい真面目に台所やら風呂場やら、普段手が回らない細部までプロ級の掃除テクを披露してるぜ。奴ら、アイリーンの家も掃除させて欲しいって言ってたぜ」
「それじゃあ今度、お言葉に甘えさせてもらおうかな」
 ……なるほど、ジェームズさんの言うように体は頑丈なようだ。

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