追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
腰をかがめ、目線の高さを揃えて問えば、リリアーナは緩慢に顔を上げた。視界に私を映すと、リリアーナはクシャリと顔を歪めた。
「……なんとしても在学中に、名門貴族の男子生徒を許嫁に定める必要があった。それも、当家が重ねた借金を補えるだけの財力を持った生徒でなければ駄目……。そうしてそれを成す事が、コルトー子爵家の一人娘である私の存在価値だと信じていた。立派な許嫁を連れて帰れば、お父様が私を認めてくださると……っ」
リリアーナは声を詰まらせた。
……リリアーナの犯した行為は、いかなる理由があれ許されるものではない。けれど聞かされた犯行動機は、私の心に重く影を落とした。
「許嫁を決めるために、何故私を陥れる必要があったの?」
私のしたこの質問に、すっかりかつての傲慢さが鳴りを潜めたリリアーナが、ほんの少し鼻白む。
生き人形のように、色のなかったリリアーナの瞳に、感情が灯る。それを目にして私が感じたのは、驚くべきことに喜びだった。
陥れられ、無実の罪を着せられて腹に据えかねていたのは事実……。だからと言って、感情の色を無くし、抜け殻のようになったリリアーナを見る事が望みではない。
「学園のプリンセスを蹴落とさない事には、始まらないでしょう?」