追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 ところが、コルトー子爵の言葉は最後まで続かなかった。
 ――ガッシャン――ッッ!!
 気付いた時には、コルトー子爵は遠く扉まで吹き飛んでいた。
「妃への侮辱、赦さんぞ」
 ……え?
 地響きみたいなカーゴの声と、立ち昇る怒りの波動に、この場にいる全員が固まった。
 一歩、また一歩と、カーゴがコルトー子爵に歩み寄る。
「……ぅ、ぅううっ。……き、きさき?」
 コルトー子爵が折れた鼻から噴出する血を抑え、ガタガタと震えながら呟く。
「其方、先ほど俺を若造と侮っていたな? 確かに、年若いというその一点に異存はない。だが俺はカーゴ・アル・カダール。カダール皇帝の唯一の嫡子にして、皇位後継者だ」
 耳にした瞬間、キーンとした共鳴音が響き渡り、目の前が真っ白に染まる。
 ……カーゴがカダール皇帝の、……次期後継者?
「皇位継承の条件的なとこ、だいぶ端折ってっけどな」
 ルークのボソリとした呟きは、当然耳を素通りした。
「俺はそこにいるアイリーンと将来を誓った仲だ。外交大臣の任にある其方が、カダール皇国の次期皇妃に吐き捨てた暴言の数々、赦してはおかん。皇家への侮辱は重大かつ、両国間の和平すら脅かす脅威だ。セント・ヴィンセント王に直訴し、普遍的管轄権を主張する。其方に対し、カダール皇国の法を適用し、不敬罪での処罰を望む」

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