追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 この時の私は、体勢を保持して座れている事が不思議なくらい、全身の感覚がなかった。
 鳴りやまぬ共鳴音には、ドクンドクンと巡る血脈が重なって、頭の中が沸騰してしまうんじゃないかと思った。
 視界は、相変わらず真っ白だった。だけど真っ白な視界の中で唯一、カーゴだけは確かな輪郭を持って浮かぶ。
 ただしそれは、実際の色味とは別のもの。立ち昇る威厳が、カーゴを浮き上がらせていた。
 私は目を見開いたまま、瞳にカーゴを映していた。
「……な、な、な」
 コルトー子爵の戦慄く唇は、まともな言葉を紡げずに同じ一音のみを繰り返した。
「借金を抱えていると言っていたか? だが、安心せよ。貴族位の剥奪となれば、領地返納により借金も相殺される。ジェームズ氏の農園への補償もそこから賄えよう。もちろん、其方は借金がない代わりに、裸一貫で世に出る事になるがな」
 コルトー子爵は極限まで目を見開いてガタガタと震えるばかりで、これ以上はもう一音だって発する事はなかった。
「リリアーナ、其方への罰もこれに準ずる事となる。其方の家はなくなり、当然実家からの援助は断たれる」
「はい」
 カーゴに対し、リリアーナは殊の外しっかりとした声で返事をした。

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