追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました




 待ちに待った退学の日。
 うきうきで向かった学長室には、学園長や教師らと共に、何故かリリアーナの姿があった。
 ……え、なんでいるの?
 さっさと退学を言い渡してもらい、これで晴れて自由の身になれると心を弾ませていた私は一転、どんよりと心を曇らせた。
「アイリーン・オークウッド、お前の犯した罪は三度の窃盗に、二度の学内備品破損、他学生への暴力行為。ここにいるリリアーナは一番の被害者で、深く心を痛めている。この場でなにか、伝えるべき言葉を持たないか?」
 ……これはもしや!? 私は謝罪を要求されている――!!
 驚愕に目を見開く。極限まで開いた口は塞がらず、それどころか今にも顎が外れそうだ。
「……いいんです、学長先生。私は母の形見のエメラルドの髪留めが無事に戻ってきただけで十分です」
 すると、一向に声を上げようとしない私に代わり、いつぞやのスポットライトを持ち出したリリアーナが、悦に入って語り出す。
「なんと寛大な心を持つのか。リリアーナ、其方はこの学園の鏡のような生徒だ」
 学園長はリリアーナに感嘆の眼差しを向けた。
 ちなみにエメラルドの髪留めは、リリアーナの取り巻きが屋外運動の授業中に私のコントラバスのケースに入れた。実施された荷物検査で、当然の如く私のコントラバスのケースから発見されたのだが……。
 ……実はこれは、私の中でいまだ納得のいかないベスト5に入る事件だったりする。

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