追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「は!? お前、むしろ八割がたの意識でこの小難しい課題が解けるってただもんじゃねーぞ!?」
 ルークはギョッとしたように目を剥いた。
「なに? このくらいは五割の意識があれば十分に解けるだろう」
「……お前、たまに真顔で嫌味を言うよな」
 ルークの続く言葉は、俺にはよく分からなかった。
「しっかしよー、先祖返りっつーのも難儀だぜ」
「まったくだ」
 これには深く同意して頷く。
「なんつったって、雨のたびに俺の課題が滞っていけねぇ」
「……」
「おい!? 俺はまだ最後の一問が写し終わってねぇ!」
 俺が無言のままノートを閉じれば、ルークが噛みつく。
「一問くらい自分で解け。そうやって俺の課題を写してばかりいては、ますます頭が錆び付くぞ」
 ルークはジトリとした目で俺を見ると、自分のノートをパタンと閉じてしまった。
「ま、一問くらい分かんねぇ問題があったって不自然じゃねーしな」
 どうやらルークは、最後の一問は空白のまま提出する事にしたようだ。
「お、そうだそうだ。すっかり忘れてたが、今日の昼、面白い場面に出くわしたんだ」
 ルークは予備椅子を元の位置に戻しながら、何か思い出した様子で俺を振り返った。
「俺がたまたま礼拝堂裏の辺りを通りかかったら、リリアーナの取り巻き連中が中でなんか壊してやがるんだ。面白れぇから咄嗟に一枚、フィルムを使っちまったぜ。奴ら、『これをやりきれば、リリアーナのボーイフレンドにしてもらえる』とかなんとか、健気なもんだよな。リリアーナがきっとまた、なんか企んでんだろ。とにかく一週間後には、お前も面白いもんが見れ――」
「課題よりも先にそれを言え!!」
 ――バッターンッッ!
 ルークが最後まで言い終わらない内、俺は貴賓室を飛び出していた。


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