追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
男子寮を飛び出した俺は、周囲を窺いながら学舎に続く歩行路を進んだ。するとすぐに、学舎から女子寮に向かって歩くアイリーンの姿を見つけた。
駆け寄って問い質せば案の定、自室での謹慎を言い渡されたという。
俺はこれまで、不当な追及を受ける彼女を救おうと奔走してきた。しかしどんなに注意を払っていても、その追及は俺の不在の隙をつくようにして発生する。それはまるで、見えざる力でも働いているかのようで、俺は惨敗を喫していた。
とにかくこのままでは、アイリーンが退学に追い込まれてしまう。俺は今度こそ、俺の持つパイプを使い、学園長に直談判しようと考えていた。
ところが俺の焦燥とは裏腹に、当の本人に悲壮感はまるでなかった。この後下されるであろう退学処分にもまるで不満はないようで、彼女は窮屈な学園生活から開放される事を喜んでいた。
俺は、彼女の目に、既に学園は映っていないのだと悟った。その目は、退学後の明るい未来へと向いている。
俺は晴れやかなアイリーンの表情を眩しい思いで眺めながら、学園長への直談判をやめた。同時に、俺がこの後取るべき行動が定まった。
彼女は「やっと田舎でのんびり暮らせる」と言っていた。ならば、俺が至急取り掛かるべくは、彼女が暮らしやすい土地の厳選と住居の確保。それが定まれば地元有識者に繋ぎを取り、彼女の新生活に協力を願い出る――!
俺は思いを新たにし、まずは今後の行動を駐在大使に報告するべく、中央通りに構えるカダール皇国大使館に向かった。