追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました



 駐在大使からの再三に渡る説得に、俺は決して首を縦に振らなかった。俺の中で学園退学は既に決定事項。駐在大使の元には相談に来たのではなく、報告に来たのだ。
「我儘を言ってすまないな。だが、これはどうしても譲れんのだ」
 俺は説得が功を奏さず、すっかり消沈してしまった駐在大使の肩を、ポンッと叩いた。
 個人的にも父と親しい駐在大使は、俺の誕生から、その後の先祖返りの発覚、更にはその制御が出来ぬと分かった時も、親身になって皇帝一家を支えてくれた。
「セント・ヴィンセント王国への留学に際し、俺は父上に学園卒業の十八歳までに獣化・人化のコントロールをマスターすると約束した。そうしてそれがなせぬ時は、皇帝位を義兄のエリオットに譲る事にも同意した。それだけの決意で得た、二年の期間だ。退学をしたからといってこのまま国に帰る事は出来ん。俺が獣化・人化のコントロールをマスターするのは祖国ではない、ここセント・ヴィンセント王国の地だ」
 差し迫った俺の状況をよく知る駐在大使は、思うところがあったのだろう。複雑な表情で俺を見つめた。
「……カーゴ様」
 実を言えば、後半の「俺が獣化・人化のコントロールをマスターするのは祖国ではない、ここセント・ヴィンセント王国の地だ」というのには、気概はあれど別段の根拠はなかった。

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