追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
◇◇◇
――ガタッ、ガタガタ、ガタンッ……。ガタッ、ガタタンッ、ガタガタ……。
「んー、いい天気! 旅路は順調だし、言う事ないわね」
燦々とそそぐ陽光を浴びながら、私は軽快に進む馬車の荷台で、グッと大きく伸びをした。
「……アイリーン、この馬車旅が順調だと思えるのなら、君のお尻は相当に緩衝性に優れているに違いない。少なくとも俺は、自分の尾てい骨にヒビでも入りはしないかと気が気じゃないぞ」
カーゴが御者台から荷台の私を振り返り、呆れたように言った。
目が合えば、勝手に鼓動がトクンと跳ねた。
「あら、もしかして御者台は座り心地が悪い? だから最初に言ったじゃない、私が手綱を取るって。今からでも私と場所を代わりましょう」
私は騒ぐ鼓動には気付かない振りをして提案を持ち掛けた。
……それにしても、随分な変わりようだわ。
実は今、私を見つめるカーゴの顔に前髪は掛かっていない。かつて背中を丸めて長い前髪で顔を隠していた彼が、今は前髪をスッキリとサイドに流して秀でた額をあらわにし、背筋をシャンと伸ばして存分にスタイルのよさを見せ付けていた。最初に目にした時は、そのあまりの凛々しさに思わず息をのんだ。
もっとも、見た目が変わっても、その言動は相変わらずだったが……。
「いや、いい」
私はさっそく場所を交換しようと腰を浮かせていたが、カーゴはそれに更に呆れを深くした様子で首を横に振った。
「へんなカーゴ。私に遠慮なんて、しなくていいのに」