追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
……いやいや、まさかね。流石にそれは考え過ぎというものだろう。
カーゴのうちは男子寮の貴賓室を使う程のお金持ちだ。以前に、部屋配分の都合で打診を受けたから使っているだけだと言っていたけれど、カーゴの実家が高額な室料を支払える経済力を持っているのは事実だ。ならば、国内外に多くの物件を所有しているのも道理だし、たまたまその内のひとつを私が借り上げたというだけだろう。
元々体が弱く、体調を崩しがちだったカーゴが田舎で静養というのもなんら不思議な事ではないし、マイベリー村の住環境の良さは不動産屋の主のお墨付きだ。
……だけど、なんとなく釈然としないこの感じはなんだろう。
「もうじきマイベリー村に着くぞ」
「あ、はーい!」
御者台から掛かったカーゴの声で、道中幾度となく繰り返した堂々巡りは終わりをみた。
「村に入ってすぐのところに、マイベリー村名産の苺を使ったうまいカフェがあるんだ。せっかくだがら一服していかないか? マイベリー村はこれから苺の収穫がはじまる時期だ。時期には少し早いが、早取れの苺を使って営業をはじめているだろう」
へぇ! 苺スイーツの美味しいカフェかぁ!
苺は私の大好物だ。嬉々として口を開きかけ、けれど、すぐにハッと気付いた。
……だめだ。今は節約しないとならないんだ!
「ええっと、今は甘い物は――」
「カーゴがおごってくれるそうだぜ。な、カーゴ!?」
私はお財布事情を鑑みて、「甘い物はいらない」と続けようとしたのだが、全て言い終わらない内にルークが私の言葉を遮った。
「ああ、なんでも好きな物を注文してくれ」
「ありがとうカーゴ! 今ちょうど、甘い物が食べたいって思っていたの!」
……カーゴって、本当にいい人よね! こんなに親切で優しいカーゴを疑うなんて、私ってばどうかしてるわ。
苺のスイーツを前にして、私の憂慮はきれいさっぱり吹き飛んだ。