追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「間違いない、一年前に訪れた時、店を切り盛りしていたのはあなただ。一年前は足は不自由ではなかったと記憶している。その足が原因でカフェを営業出来ずにいるのではないか?」
私の後ろからカーゴがスッと前に出てきたと思ったら、おばあさんに目線の高さを合わせて尋ねた。
おばあさんは驚いたように目を見張り、次いで悲しそうにクシャリと顔を歪めた。
「一年前にもいらしてくださったのね。あなたのおっしゃる通り、二月ほど前に足を怪我してから、店を開けられずにいるわ。当初は、苺の収穫時期までには治るだろうと踏んでいたんだけれど、年齢もあってか、回復にちょっと時間がかかっているみたい。今はこの通り日常生活を送るだけでも精一杯の状態で、今シーズンの再開はもう難しそうね……。せっかく来ていただいたのに、ごめんなさいね」
おばあさんは申し訳なさそうに頭を下げた。
「いいえ、頭を上げてください。こちらこそ、お宅の方にまで押しかけてきてしまってすみませんでした。どうかご無理せず、今は足の怪我をゆっくり治してください」
「お嬢さん、ありがとう」
「……店主、今シーズンが難しくても、苺の収穫時期はまたやって来る。あんなに多くの客で賑わうカフェを閉店してしまうのはマイベリー村の損失だ。足がよくなったらまた、店の再開を期待している」
「ありがとう。そんなふうに言ってもらえて嬉しいわ。ほんとう言うと、閉店も頭を過ぎっていたの。だけど、待ってくださるお客様がいるのに店を畳んでしまうわけにはいかないわね」
カーゴの言葉に、おばあさんは笑みを深くした。