追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「では、ありがたくストロベリーパイをいただこう」
「ええ、たくさん食べていってちょうだい」
 カーゴの答えに、おばあさんは目に見えて表情を明るくした。
「さぁ、いつまでも玄関じゃあれね。どうぞ上がってちょうだい」
「おじゃまします」
 私たちはおばあさんの好意に甘え、お招きを受ける事にした。
「あの、お皿の後片付けだけじゃなくて、他にも何かさせてださい。私たちとしても、ただパイをいただくだけじゃ心苦しいので、遠慮なく言ってください」
「まぁ、あなたたち、お若いのに義理堅いのね」
 私の言葉におばあさんはコロコロと笑った。
 玄関を上がり、おばあさんに続いて廊下を進んだ。
「……あ、そうだわ」
 すると廊下の途中で、おばあさんが長窓を見ながら、思い出したように足を止めた。
「そう言ってもらえるなら、一個だけお願いしていいかしら? 屋根の雨どいが角度をおかしくしてしまったようで、雨が直接壁を伝ってしまうの。私の身長では届かないし、この足で脚立に上るのは躊躇していたのよ」
「そんな事はお安い御用だ。俺たちなら余裕で手が届く。な、カーゴ?」
「ああ。それよりも、その足で脚立に上がるなど、間違ってもしてはいけない。それで、その雨どいはどこだ?」
「ありがとう。この長窓の向こう側よ」
 カーゴの言葉におばあさんは重く頷いて答えた。

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