追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「俺とルークは一度外から様子を見てくる。あなたとアイリーンは先にパイの用意をしておいてくれ」
「お願いするわ。この先の居間でパイとお茶を用意して待っているわね」
 カーゴとルークは身を翻し、玄関に戻っていった。その後ろ姿を見送って、私とおばあさんは台所に向かった。

「アイリーンたちは、観光か何かでいらっしゃったの? まぁ、観光と言ってもマイベリー村には綺麗な空気と苺くらいしか名産はないけれどね」
 シーラさんと名乗ったおばあさんはとても感じよく、気さくだった。私たちはすっかり話に花を咲かせた。
「観光ではないです。でも、綺麗な空気を求めて来たというのは間違っていません。少し、王都から離れたところでのんびり過ごしたいなって、そう思ってやって来ました」
「そう。ここは人も時間も穏やかで、のんびり過ごすには打って付けよ」
 シーラさんは深く追及せず、そう言って静かに微笑んだ。
「さ、できたわ。居間に運びましょうか」
「はい」
 私は綺麗に盛り付けられたストロベリーパイを見て、ホゥッと感嘆の息をこぼした。
 バターを幾層にも折り込んで重ねられたパイ生地に、バニラビーンズが香るたっぷりのカスタードクリームときめ細かな生クリーム。その上には、村の名前をいただく大粒のマイベリーがびっしりと並ぶ。マイベリーは濃厚な甘みと酸味のバランスに優れ、しっかりとした果肉の歯ごたえが特徴の新品種だ。その極上の味わいを称え、天上の果実とも呼ばれるそうだ。

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