追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 シーラさんは納得した様子で語った。だけど私は、シーラさんが何気なく口にした「手伝ってくれる人」という、先ほどの言葉が気になって仕方なかった。
「あの、シーラさん。さっきの手伝ってくれる人ってやつですけど……」
「え? あぁ、この村はね、苺の収穫期の今が一番忙しいのよ。村の役場で求人の相談をしてみたんだけど、どこの農園も人手不足のようで、やはりこの時期に新しく人を見つけるのは無謀だったわ」
 緊張の面持ちで切り出せば、真意とは違う答えが返される。
「いえ、そうではなくて。……その手伝いって私じゃだめですか!?」
「え?」
 シーラさんはキョトンとした顔で私を見返した。
「実は私、お菓子作りが好きで、よく作っていたんです。あくまで趣味の範囲で、それを仕事にしていたわけではないんですが、レシピを教えていただければお手伝いできると思うんです。私にお店を手伝わせてもらうわけにはいきませんか?」
 この時、私の頭の中では先のカーゴの言葉が思い出されていた。
 カーゴは「あんなに多くの客で賑わうカフェを閉店してしまうのはマイベリー村の損失だ」とそう言った。

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