追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
だけど私は、こんなにも美味しいスイーツがあると知ってしまったからには、たとえワンシーズンだろうと休業が惜しまれてならなかった。
もしも私で、なにか手伝いが出来るなら――! そんな使命感にも似た思いに衝き動かされ、気付いた時には声を上げていた。
「もちろんよ! 大歓迎に決まっているわ! 私のスイーツはどれも作り方自体はとってもシンプルなの。お菓子作りに慣れ親しんでいたのなら、なんの問題もないわ!」
シーラさんは興奮気味に叫び、私に向かって身を乗り出した。
「……でも、あなたはゆっくりしたくてこの村に来たんじゃなかったかしら? 無理を押して働いてもらうのも、なんだか申し訳ないわ」
「いえ! ゆっくりと言うのは王都の喧騒を離れたかったという意味です。元々、どこかで働き口を探そうと思っていたんです」
「あらまあ! そういう事ならぜひ、ここで働いてちょうだい! あなたが一緒にお店を手伝ってくれるなら、こんなに嬉しい事はないわ!」
シーラさんはとても嬉しそうに笑って私の手を取った。
「こちらこそ! シーラさん、よろしくお願いします!!」
私も笑顔で手を握り返した。カーゴとルークは、私たちの様子を微笑んで見つめていた。
こうして私は早々にマイベリー村での働き口を決め、シーラさんと二人、カフェを盛り立てていく事を決意した。