追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「……あの、シーラさん。私からこんな事を言うのは差し出がましいかもしれませんが、よかったら今シーズンのお店の営業を、まるまる私に任せてはもらえませんか?」
私はシーラさんを椅子に座らせると、逡巡の後に切り出した。
「え?」
当初は、私とシーラさんの二人でお店を開ける方向で話が進んでいた。だけどシーラさんには、今シーズンはゆっくり休養してもらった方がいいように思えた。
「今の説明でおおよその流れは分かりました。私一人でも十分営業出来ると思います。それに、シーラさんのお宅はすぐそこです。困った事があれば、すぐに聞きに行く事が出来ます」
「ありがとう。あなたにそう言ってもらえると助かるわ。こうして実際に店に出てきたら、想像よりも足の負担が大きくて……。内心、とても不安に思っていたのよ」
営業の再開に、かなり無理を押していたのだろう。シーラさんは私の提案に安堵の色を滲ませて、快く同意をくれた。
「お店の評判を落とさないように頑張ります!」
「ほんとうに、アイリーンに来てもらえてよかった。それからまる一日とは言えないけれど、もちろん私もちょくちょくお店に顔は出させてもらうわ」
「はい、よろしくお願いします! 私、もう一度調理と営業の流れをおさらいしてきますね」
「まぁ頼もしいこと」