追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「は、はいっ! ……って、いえ! 『美人の店主』の件はなしでお願いします!」
「はははっ!」
こうして急転直下、お店は明日からの営業再開を決めた。
「そういう事なら、明日は人手があった方がいい。俺も朝から手伝おう」
え!? 聞こえてきた声に驚いて振り返れば、カーゴが入口の扉に手を掛けて立っていた。その後ろには、ルークの姿もあった。
「カーゴ! ルーク!」
――カラン、カラン。
二人が店内に入り、扉を閉めた振動で、ベルが鳴る。どうやらジェームズさんの来店の後、扉が開け放ったままになっていたらしい。
「ずいぶんと盛り上がっていたみたいだな。話が表にまで聞こえてたぜ」
ルークがヒョイと肩を竦めて苦笑した。
「す、すまん。儂が扉を閉めなかったんだな」
「いいえ。私もすっかり話に夢中になってしまったから」
ジェームズさんとシーラさんが恥ずかしそうに顔を見合わせたけれど、声を掛けられるまで気付かなかったのは私も同じだ。
「ははは! ま、この田舎じゃ、扉が開けっぱなしだろうと、不用心ってこともねぇやな。で、明日から開店なんだろう? そういう事なら、もちろん俺も手伝うぜ! カーゴだけにいい恰好させとくわけにはいかねえからな」