追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「はい! ゆっくり休んでください」
「よし、それじゃあシーラ、送っていこう」
ジェームズさんが差し出す腕を、シーラさんがスッと取った。
「明日も一日は難しいけれど、また朝に顔を出させてもらうわね」
「はい、明日もよろしくお願いします」
――カラン、カラン。
二人は腕を絡め、店の扉を潜る。その時、ふいにジェームズさんがカーゴに目線を向けた。カーゴもまた、チラリとジェームズさんを見やり、二人の視線が絡んだ。
二人の目配せはほんの一瞬で、すぐにジェームズさんはシーラさんを促して行ってしまった。カーゴもまた、何事もなかったかのように私とルークに向き直る。
……今の、なんだったんだろう?
「よっしゃー! カフェの開店日なら、綺麗どころがわんさか押し寄せて来るに違えねえな!」
覚えた僅かな違和感は、ルークの一声であっという間に押し流された。
シーラさんとジェームズさんが帰った後、店内では私とカーゴ、ルークの三人で明日の役割分担を協議していた。
「ルークは厨房で、盛り付けの作業をお願いするわ」
「は!? どうして俺が接客じゃねえんだ!?」
私が提示した役割に、ルークは不満も露わに声を上げた。