追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「どうしてと言われれば……。ねぇルーク、たとえばの話だけど、ものすごく綺麗な女性がお客様として来たらどうする?」
「どうもこうもねえ! そんなん口説くに決まってんだろうが!」
案の定、ルークは予想した通りの答えを返す。
「やっぱりルークは、明日は厨房係をお願い。繁忙時にお客様の誘導案内が滞ると困るもの」
「なんだと!? 速攻で口説き落とすんだから、滞るわけがない」
ある意味、ここまで言い切られると清々しくはある。
だけどやっぱり、ルークは接客から外しておくのが無難だ。
「アイリーン、実に正しい判断だ。ルーク、お前はなるべくして厨房係だ。それが不満なら、お前の手伝いは不要だ。俺が二人分働く」
カーゴがピシャリと言い放つ。
「はんっ。別に厨房係が不満とは言ってねえ。仕方ねえな、明日は俺の芸術的な盛り付けに唸らせてやるぜ」
芸術的な盛り付け……? 私としては、メニューブックの通りに盛り付けてもらいたいのだが、手伝ってもらう手前、ここはあえて口を噤んだ。
「では、俺が配膳と下膳。厨房のフォローも入ろう。アイリーンはお客の案内と注文取り、会計だな」
カーゴが分担表の各作業項目を指差しながら言った。
「待って、カーゴ。それだと明らかにカーゴの負担が大きいよ!?」