追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

「いや、明日は営業初日だ。アイリーンは出来るだけ店頭に立ち、来客としっかり挨拶を交わしておいた方がいい。それが常連客の獲得にも繋がってくる」
「……」
 明日の来客を捌くだけでなく、先の顧客獲得までを見越したカーゴの言葉に、私は言葉を失っていた。
 正直、私はそこまで頭が回っていなかった。
「それにだ、混むとは言っても、小さな村の喫茶の開店に捌ききれないほどの来客はさすがにあり得ない。俺は最初から、アイリーンにじっくり接客に回ってもらうための手伝いと考えていた」
 カーゴの読みは鋭い。
 私は開店初日の客入りは、苺祭りの日と同じくらいになるだろうと予想していた。苺祭りというのは、年一回催されるマイベリー村最大のイベントで、この日はお店も朝から多くの客で賑わう。
 この苺祭りの日の客入りが、だいたい普段の三倍程度。シーラさんは朝から晩まで大忙しだと言っていたが、それでも毎年一人でお店をやり切っていた。
 カーゴとルークが手伝ってくれれば人手は三倍だ。私は余裕を持った丁寧な接客ができるだろう。
「ありがとうカーゴ。お言葉に甘えて、私はお客様に多く接させてもらうね」

< 72 / 205 >

この作品をシェア

pagetop