追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
「アイリーン、流石に疲れただろう? 今なら客足も落ち着いている。少し休んできたらどうだ?」
お昼を回り、客足も落ち着いた午後三時。カーゴがすれ違いざまに、私の耳元で囁いた。
「私は全然大丈夫! お店でこうやってお客様の表情を見ているのが楽しくて仕方ないの! カーゴこそ、休んできて?」
「いや、俺も大丈夫だ。君の言うように、店にいる方が楽しいからな」
「あ! あちらのお客様、オーダーが決まったみたいだから行ってくるわ!」
カーゴに嬉々として告げると、私はお客様のテーブルに足を向けた。
「……そうだな。目を輝かせて、くるくるとよく動く君の姿を間近に見られて、こんなに楽しい事はない」
カーゴが更に言葉を続けたような気もしたけれど、接客に向かってしまった私には、その内容までは分からなかった。
「これにて、本日分のスイーツは完売です! これも全て、皆さんの協力のおかげです! 皆さん、今日はお疲れ様でした! 本当にありがとうございました!!」
最後のお客様を見送って、私が店内の皆に向かって頭を下げれば、皆から温かい拍手があがった。