追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
――カラン、カラン。
お昼前、お店に可愛いらしいお客様がやって来た。六歳くらいの女の子は入るのを躊躇した様子で、キョロキョロと店内を見渡していた。
「いらっしゃいませ」
もしかして、ここでお母さんか誰かと待ち合わせだろうか? 私は緊張した面持ちで佇む少女の元に向かった。
……あ、苺の花びら。ふと、こちらを見上げる少女のスカートに、小さな花びらが付いているのに気付く。どうやら少女は地元の苺農家の子供のようだ。
私は少女のスカートに付いた花びらをそっと摘み上げると、かがんで少女と目線の高さを合わせた。
「苺の花びらが付いていたわ。今まで苺の収穫をお手伝いしていたの?」
私の問いかけに、少女ははにかんだ笑みで頷いた。だけど間近に向き合うと、温かな陽気にも関わらず、少女の顔は血色がなく、青白く感じられた。
……なんだろう、気のせいかな?
「そう、偉いわね。今日はすごくお天気がいいから、ハウスの中での収穫は暑かったでしょう。よかったら中で冷たい苺ミルクはどう? タピオカがたっぷり入って美味しいわ。あとは、アイスクリームやシャーベットもあるわ」