追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
お行儀よくお座りした四メートルの巨大モフモフ……。そわそわとした落ち着かなさを誤魔化すように、私はもう一度ゴクリと喉を鳴らす。
その間も巨大モフモフは、つぶらなグリーンの瞳で私を見つめている。
ヴッ!!
私、もう無理――!! めっちゃ可愛い! めっちゃ撫でたい! ……ううん。あわよくば、あのモフモフの毛に顔を埋め、心ゆくまでモフリたい――!!
ついに私の欲求が弾けた。
「お願い! シフォンケーキの残りをあげる! だから、ちょっとだけ撫でさせてっ!」
気が付けば、私は巨大モフモフに向かって叫んでいた。
巨大モフモフは一瞬、キョトンとしたような顔をして、直後バフンッと伏せをした!
「ガウ」
どうやら巨大モフモフは私の求めに応じてくれたようだ。
「あ、ありがとう!」
ハァハァと息が上がり、体温は急上昇。鼓動も駆け足で鳴り響く。
そろり、そろりと手を伸ばす。指先が、ついにモフモフの頭頂に触れる。
な、なにこの魅惑のモフモフ!? モフモフの毛は極上の質感と艶感で、私を歓喜に震わせた。
……だめ、私、もう我慢できない!
「う、うっ、うわぁあああっ!! モフモフ! ふわふわ! もっこもっこ! そんでもって、おてての肉球はぷにっぷに! なにこれ、モフモフ天国だぁああ~!!」
魅惑のモフモフを前に、私の理性はガラガラと崩壊した。「ちょっと」という先の言葉はすっかりどこかに吹き飛んで、私は巨大モフモフを心のままに撫でくり回す。