追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました
モフモフは私が飛びついた瞬間、ビクンッと四メートルの巨体を跳ねさせたけれど、抗おうとはず、借りて来た猫の如き大人しさで私のするに身を任せていた。
……ん? 借りて来た、猫?
ふと、気付く。
「あなた、サイズこそ規格外だけど、猫だよね?」
「ガ、ガウゥ」
巨大モフモフは、ブルブルと首を横に振る。
「……ううん、間違いない! 『桃色ワンダーランド』のプリンスをでっかくしたら、まさにあなただもの! あなたはプリンスよ!」
私がモフモフの毛並みの中で、いっとう柔らかでモフモフの首元から顔を上げて言えば、モフモフは困惑気味に首を傾げる。
アイリーンとして転生してからここまで、私は『桃色ワンダーランド』のシナリオを忠実に辿っていたが、実を言うと一点だけゲームの設定と異なる部分があったのだ。
それが、アイリーンの愛猫プリンス――! 『桃色ワンダーランド』では、アイリーンが生まれた時から、実家でプリンスという名の猫を飼っているはずだった。だけど不思議な事に、この世界ではお母様が動物にアレルギーを持っており、実家にプリンスはいなかった。
とはいえ、ゲームの本筋とは関係無いので、あまり気にした事はなかった。