追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました

 だけど今、見れば見るほど目の前の巨大モフモフはプリンスによく似ていた。なにより、プリンスの一番の特徴である耳の形が一緒だった。プリンスも目の前の巨大モフモフと同じく、猫では珍しい丸型の耳をしていたのだ!
「あなたはプリンスなんだよね? そうでしょう!?」
「……ガウ」
 巨大モフモフ、改め、プリンスは物凄く悩まし気に一声鳴いた。それは間違いなく、同意だった。
「嬉しいわプリンス! 私、あなたに会いたかった!」
 私がギューッと抱き締めて、柔らかな毛にモフモフと頬ずりすれば、プリンスは宝石みたいなグリーンの瞳をキラキラと輝かせた。
「ガウッ」
 プリンスをモフリ倒しながら、私の中で全てに合点がいっていた。
 ゲームをしている時、たまにビックリするようなバグ画像を目にする事がある。プリンスは、まさにそれなのだ!
 プリンスはプログラミング上の不具合で、でっかくされてしまったに違いない。その結果、正しい時期に登場できず、こうして今になって、私の前に姿を現したというわけだ!
「それからね、プリンス! あなたがどんなに大きかろうが、私の可愛いネコちゃんには違いないわ! 私たち、仲良くやっていきましょう!?」
「ガ、ガウッ」
 私は心ゆくまで、プリンスの極上の毛並みを堪能した。
 わぁああ! なにこのモフモフ天国、幸せすぎる~!
 私は生まれて初めて、『桃色ワンダーランド』の悪役令嬢、アイリーン・オークウッドに転生できたことを感謝した。ついでに、バグを作ってくれたプログラマーにも感謝した。



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