【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「先生が今あっち向いてスマホ見てんだよね……。今のうちに走ってどっかの部屋に隠れよっか。ここじゃすぐ見つかる」



もやもやした気持ちを抱えて、速足の灰野くんについていく。


光に目が眩みそう。薄目にしながら灰野くんが開けた扉の中に入った。


真っ暗でプロジェクターとモニターが置いてある、ひろい部屋。視聴覚室かな。


ドアを閉めると廊下の光が遮断されて闇が広がる。


分厚いカーテンのせいで、もしかしたら外よりも暗いのかも……。


「暗すぎるか」

「でもだんだん目が慣れてきた」

「ほんと?俺全然見えないけど」


……ちか!


と思ってたのは絶対にあたしだけ。


灰野くんは目をこらしているから。


いまなんでおもいっきり距離をとっちゃたんだろう。



このままぎゅって抱きしめちゃいくらいに近かったのに。

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