【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「藍田さん?」
どうする、あたし。
偶然、その両手に飛び込んでしまう?
それとも、やめておく?
あぁまずい。
灰野くんの目が暗闇に慣れちゃう。
「あ。そこ?」
ぺたぺたと灰野くんの両手があたしの頭にふれる。
え?
え?……え?
段階的にはにかみんだ笑みがだらしなさを増して、あたしは真っ赤だ。
あ、手、離れちゃった……。
でも優しい手の感触が十分残ってる。
「もう、藍田さんは……。だから返事してよ」
やっと見えたのかな……?
ねぇ、そんな呆れっぽく笑わないで。
そんなのみたら余計にドキドキしちゃうから。