【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「灰野くん今、わらった……」
「俺普通に笑うだろ」
「あたしの前ではあんまり笑わないよ」
「そーなんだ」
他人事みたいな言葉だなぁ、もう……。
「でも藤堂さんの前ではよく笑ってた。羨ましかったなぁ」
灰野くんはあたしと付き合ってた時、あんまり笑ってくれなかったのに。
「お似合いだったよ、藤堂さんと灰野くん」
目にぴったりおさまる二人。
見るの嫌だったけど、見事なほど画になってた。
「……藍田さんとナギもそうじゃん」
「ナギちゃん?」
「中1のあの頃、俺よりナギの方が彼氏っぽかったよ」
素気無い声に目が丸くなる。
うそ、そんなこと思っていたの?
「ナギと藍田さんのこと……俺だって羨ましかったよ」
ドクンと、心臓が跳ねた。