【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「……あんまり見ないでよ」


恥ずかしそうに顔を背ける灰野くん。


それ、ずるいんだよ。
きゅうんっと胸が痛くなるから。



ドキドキと鳴るときめきみたいなものに支配されちゃったあたしは。


「灰野くん……」


命からがらな声で助けを求める。



「藍田さん?大丈夫?」



本気で心配している灰野くんの声が聞こえたと思ったら、

灰野くんは目をこらすようにしてあたしの顔を覗き込んだ。


あっ……、近……。



後ろに大きく一歩下がったあたしは机に派手にぶつかってしまった。


だって突然あんなに近づくから……!


ガターンと静かな教室に響いた時にはもう遅い。


廊下から「誰かいるのか!」と田島先生の声が聞こえたと思えば、ばたばたと足音が近づいてくる。



―――みつかる!



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