【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
そんな限界すれすれのあたしたちに、終了を知らせる声が聞こえてきた。
「田島先生ー、交代ですよ」
「水品先生。もうそんな時間でした?」
「待ってましたよー。こんなとこでどうしたんですか?」
「生徒がいるかと思って」
「もう点呼とったんでいないと思いますよ。エレベーターも誰も使ってませんし」
「そうですかぁ」
遠のく足音。
パチンと消えた電気。ドアの閉まる音。
「……はぁ」
灰野くんは溜息をついて、あたしから手を緩める。
「ごめん……」
「ううん」
……天国みたいだった。
離れてしまった体の全部が熱い。
「……なんの話してたっけ」
全部ふっとんじゃったあたしたち、真っ赤な顔して笑いあった。