【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「そっちも洗剤撒こっか!?」



藍田さんが、ナギとリホと山本側に向かって叫んだ。


ふわっと吹き抜けた風に目を細める藍田さんに、完全に見惚れていた俺は、手元のホースをだらんと持ったまま滝のように水を流し続けて。


びちゃびちゃびちゃと足元を跳ねる水の音で、ようやく正気を取り戻した。


「灰野!ここ、もうちょっと水流して!」


「ああ、うん」


彗の方へとホースを向ける。水のアーチを蛇行させてゴミを追いやっていたちょうどその時。


「わぁっ」


藍田さんの声に次いでバシャンと嫌な音が空に響いた。

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