【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
茶色と緑に汚れた体操着。
ホースの先を適度に押しつぶして、できる限り優しく、上から下と水を這わす。
ジャーっと流していくと、案外簡単に白くなっていって、安心した束の間。
「汚れ取れてき……」
と、俺が口を動かしているうちに。
浮かび上がってきたのはピンク色と肌色で。
……やばい!
「女子!だれか女子!代わって!」
ホースを女子たちにつき出して目を閉じながら慌てふためく俺に、リホと彗は渾身のいたずらっぽい声で返す。
「ごめーん、今手が離せないんだわぁ!」
「それに元カレなんだからいいじゃーん」
……ぶっ殺す!
藍田さんから顔を背けて、男子の方を見ると、
「俺とナギはそっち向いとくしね?」
山本はにやりと口角を上げてからくるっと背を向けて、ナギは目をそらしていた。