【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。


そのやり取りを聞いてようやく。



「え?ひゃあ!」


藍田さんは間抜けな声を出してから、透けた下着に気付いたようだ。


俺は藍田さんの方にホースは向けたまま、顔を背け続ける。



「プールサイド上がって自分で流してよ」


「でもあと、うしろだけだから……」



回れ右をして俺に背中を向ける藍田さん。


それも結構無防備だって、わかんない?


てか、なんでそんなドジなの藍田さん。


地面ぬるぬるしてるんだから、もっと気をつけて歩けよ。


でも藍田さんらしいか……。



背中の裾の一部にだけついた緑色。


これを流す間、肌から体操着を浮かせるように両手ですそを持つ藍田さんは顎と首がくっつきそうなほど俯いていて。



俺だって目のやり場がいまだにわかんない。


「……んっ」


そういう声、出さないで。
もうどうすればいいんだよ、俺の心臓。やばいけど。



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