【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。


「5日は休みだから、彗と月曜日に祝おうと思ってたのにー。先越さないでよナギー」


「祝うって言っても、リボンついてるだけだけどなぁー」


「ありがとうナギちゃん!」


そんな嬉しそうな笑み、ナギに見せんのかよ。


本当に昨日言ったことが一ミリも届いてなくて、冷めた目が藍田さんに向く。


「かんぱーい、胡桃おめでとー!」


6本のソーダがカツンカツンと音をたてる。



すぐ隣に座っている藍田さんは、巻き付いたリボンをつんと指で弄んで、「うれしい」とまで付け足した。


いいけどね。

俺は誕生日を知っていても何かアクションを起こす気なんてなかった。



じゃあいいじゃん。ナギが何をしたって。


俺はどうせ、藍田さんとなんか絶対に付き合わないんだから。


……でもムカつく。


そんなリボン一本でナギは藍田さんを喜ばせるんだもんな。


藍田さんが、俺よりナギを好きになるのなんか時間の問題なんだろう。


……いいんだけど、それで。



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