【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
ナギちゃんは、肩に引っ掛けていたスクールバッグを床に置き、中から黒のマジックペンを一本取り出した。


そしてキュポンと蓋を引っこ抜く。



「胡桃、手貸して」

「?はい」


すっとナギちゃんに手を伸ばすと、それを片手に取られた。



「生命線長ー」


「そうそう、あたし長いの。……って、くすぐったいよ!」


「我慢しろ」



ナギちゃんはあたしの手のひらに何か絵を描いていて、
あたしはそれをじっと見ていた。


四角い袋?


「なにこれ?」


「え、わかんない?」


ナギちゃんはまたペンをあたしの手のひらの中で動かす。



白い袋の口がリボン結びでとめられているその袋の真ん中に「お守り」と書き加えた。



「お守り?」


「有り難すぎるだろ?」



ナギちゃんはカラッと笑う。
それにつられたあたしの口元も緩む。


ナギちゃんって言う人は、もう……。


「ありがと、ナギちゃん」


「んじゃ、頑張れー」


簡単に手をひらひらっとして、ナギちゃんは背を向けて歩いて行った。




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